
2019年末に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行が始まって以来、「Spike Protein」は、世界中の数千件に及ぶ研究論文に登場する医学・生物学上の重要な用語の一つとなりました。また、「SARS-CoV-2ウイルスの感染機序」と「現代のワクチン開発の基盤」の両方において中心的な役割を担っています。
Spike Proteinは、ウイルスが扉を開けて人間の細胞へ侵入するための「生物学的な鍵」のような働きをします。肺、心臓、血管、腸、脳などの重要な臓器に存在するACE2(Angiotensin-Converting Enzyme 2) という受容体に結合します。
この性質により、Spike Proteinは感染の出発点となるだけでなく、循環器系、神経系、慢性炎症に関する重篤な合併症にも関係しています。
そのため、Spike Proteinについて理解することは、急性期医療(Acute Medicine)と予防・再生医療(Preventive & Regenerative Medicine)による長期的な健康管理の両面において極めて重要です。特に、免疫検査、Long COVIDの診断、感染後に残る可能性のある慢性的な血管炎症からの回復に関係します。
Spike Proteinとは?
Spike Protein(S-protein)は、SARS-CoV-2ウイルスの表面に存在する突起状のタンパク質で、ウイルスが人間の細胞へ侵入するために使用します。
そのため、Pfizer、Moderna、AstraZenecaなどの多くのワクチンは、この「模擬的なスパイクタンパク質」を基に開発されています。免疫系を刺激して身体に記憶させ、感染を防ぐことを目的としています。
Spike Proteinとは何か、身体への影響、Spike Protein Antibody Level検査が推奨される理由Spike Proteinは身体にどのような影響を与えるのか
Spike Proteinの有益な働き:免疫を形成するための重要な手段
今世紀における重要な医学的進歩の一つが、PfizerやModernaなどのmRNAワクチンと、Novavaxなどの遺伝子組換えタンパク質ワクチンの開発です。
これらはSpike Proteinの遺伝情報を利用し、ウイルス全体に接触することなく、身体に限られた量のSpike Proteinを作らせて免疫系を刺激します。
ワクチンによって作られるSpike Proteinは、neutralizing antibodies(中和抗体)の産生とT cell memory(T細胞記憶)の形成を促します。これにより、将来感染した場合の重症化を抑える助けとなります。
- 実際のウイルスを使用せず、安全に免疫系を訓練できることが利点です。
- ワクチンによって作られたSpike Proteinは数日以内に分解され、体内に残留しません。
Spike Proteinの有害な影響:実際のウイルスが体内へ侵入した場合
ワクチンによって作られるSpike Proteinとは異なり、実際のSARS-CoV-2感染に伴うSpike Proteinは、身体にさまざまな影響を及ぼす可能性があります。特に、免疫系が激しく反応した場合や、Spike Proteinが通常より長く体内に残った場合に注意が必要です。
1. 急性炎症の誘発(Cytokine Storm)
Spike Proteinは免疫細胞を強く刺激し、IL-6やTNF-αなどのサイトカイン(cytokines)を放出させることがあります。一部の患者ではCytokine Stormにつながり、全身に炎症を引き起こし、呼吸器系や心血管系へ影響を与える可能性があります。
2. 血管内皮細胞の損傷(Endothelial Damage)
Spike Proteinが血管の内側を覆うendothelium(内皮細胞)を損傷する可能性を示す研究があります。これにより血液凝固が起こり、血栓症、高血圧、stroke(脳卒中)のリスクが高まる可能性があります。
3. 血液脳関門を通過する可能性(Blood-Brain Barrier)
特定の状況では、Spike Proteinが脳へ入り込む可能性があり、Long COVIDの方にみられるbrain fog(ブレインフォグ)、抑うつ、集中力の低下、記憶障害などに関係する可能性があります。
4. 慢性炎症とLong COVIDの誘発
一部のケースでは、患者が回復した後も、Spike Proteinまたはウイルスの断片が長期間にわたって体内から検出されることがあります。その結果、免疫系の機能異常、慢性疲労、さらには自己免疫疾患(autoimmune)につながる可能性があります。
Spike Proteinとは何か、身体への影響、Spike Protein Antibody Level検査が推奨される理由Spike Protein Antibody Level検査とは?ワクチン接種後の新型コロナウイルスに対する免疫を測定できる?
COVID-19が風土病となった一方で、新たな変異株が継続して出現している現在、多くの方が次のような疑問を抱いています。
「自分の免疫はまだ残っている?」「次のBoosterはいつ接種すべき?」「現在ある抗体で変異株を防げる?」
Spike Protein Antibody Level検査は、医療機関によってはSARS-CoV-2 S IgGとも呼ばれています。新型コロナウイルスに対する免疫の程度を正確かつ安全に評価するため、世界中の医師が使用している検査方法です。
身体にCOVID-19を防げる程度の免疫が残っているかを評価します。特に、ワクチン接種から数か月が経過している方や、感染歴はあるものの身体がどのように反応したか分からない方に用いられます。
なぜSpike Antibody Levelを検査する必要があるのか
Spike Protein Antibody Level検査は、採血によってスパイクタンパク質に対するIgG抗体の量を測定する検査です。検査結果から次のことが分かります。
- COVID-19に対する現在の免疫レベル。
- その免疫が感染を防ぐために十分かどうか。
- Booster接種が必要かどうか。
Spike Proteinとは何か、身体への影響、Spike Protein Antibody Level検査が推奨される理由Spike Protein Antibody Levelの検査結果から何が分かるのか
Spike Protein Antibody Levelの検査結果は、一般的にBAU/mL(Binding Antibody Units) という単位で測定されます。
数値が高いほど、身体に病気を防ぐうえでより有効な可能性がある免疫が存在することを意味します。世界保健機関(WHO)はBAU/mLを国際的な標準単位として使用することを提案しており、世界各地の検査結果を比較できるようにしています。抗体値が50 BAU/mL未満の場合は低値とみなされ、追加のBooster接種が必要となる可能性があります。
Spike Protein Antibody Level検査が適している方
Spike Antibody Level検査は、自分の身体についてより深く知りたいすべての方に適しています。特に次のような方が対象です。
- ワクチン接種から6か月以上経過し、抗体検査を一度も受けていない方。
- 過去に無症状感染していた可能性がある方。
- 糖尿病、高血圧、免疫機能の低下などの基礎疾患がある方。
- 正確な健康計画を立てたい高齢の方。
- 海外渡航を予定している方や、混雑した環境で働く方。
Spike Protein Antibody Levelはどのくらいの頻度で検査すべき?
一般的な方の場合は、6~12か月ごとの検査で十分とされています。リスクが高い方については、医師がより頻繁な検査を勧める場合があります。特にBooster接種の前後に検査を行うことがあります。
まとめ
Spike Protein Antibody検査は、単にワクチン接種後の結果を測定するだけのものではありません。自分の身体を正しく理解し、健康管理、免疫機能の強化、病気の予防を的確に計画するための「健康マップ」です。私たちは、「免疫とは単なる検査用紙上の数値ではなく、あなた自身のための個別健康計画である」 と考えています。
そのため、LINNA ClinicではSpike Protein Antibody検査を提供し、経験豊富な医師が分かりやすく結果をご説明します。
また、アンチエイジング医学の考え方に基づき、免疫機能と健康を包括的に支える計画をご提案します。
参考文献
Claire Rogers, James Thorp, Kirstin Cosgrove, Peter McCullough, 2024, “COVID-19 Vaccines: A Risk Factor for Cerebral Thrombotic Syndromes.” https://shorturl.asia/hYxZl
この記事はLINNA Clinicの医療チームが編集・監修しています。
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